非属の才能

息子の中学受験に向けて本でも買うかと、過去問の出典を調べていたところ、開成の入試に山田玲司の「非属の才能」が使われているのを見つけた。

30代後半から40代には懐かしいであろうBバージンの作者である。

日本の最高知能の人達を選抜するための試験に、あの山田玲司の本が採用されていると知り、本を買って読んでみた。

本のテーマは、日本の同調圧力や資本主義の単一化で思考停止すると幸せになれないから、自分を信じて、どこにも属さないことに恐れず、自分の考えを持って生きようということだった。

中学受験を盲目的に受けてはいけないと主張している本が、中学受験の最高峰の学校の試験に出るというのも皮肉だがおもしろい。開成の先生が同世代なのではないかと親近感を持ってしまう。

僕も早い段階から、もっと自分の好きなことをしてればよかったと今更ながら思う。親の進める職業とは異なる職業についたものの、正直、おもしろい仕事ではない。ただ得られるものは大きいのと、それなりの暮らしをしてしまった為、それを手放すのも惜しくなっており、宙ぶらりんの状況だ。自分の好きなことよりも、社会的なステータスとお金を優先した結果だ。その時々のベストは尽くし、今の家族との生活が幸せなので後悔はしていない。ただ、これから20年ぐらい働く中で、何を仕事とするかは考えてしまう。

どちらかというと自分は非属側の人間ではないかと分析しているが、今の職場は属側の人間の巣窟なので、正直気の合う人がいない。それが一番の問題かもしれない。

暗い話になったが、若い人は若いうちに読んだ方がいい本だ。非属の才能に属するのではなく、きちんと距離感を持って消化し、自分の生き方を見つけることができれば幸せな人生を送ることができるだろう。

素敵な本をありがとう、玲司さん。